ピアノの進度に関して、子供を持つ友人やご入会時にお母様より頂くご質問でとても多い内容です。
とくに、お母様がピアノのご経験者じゃない場合より、ご経験者である場合に「自分の時はこのくらいだったけど、平均的なのかわからない」と尋ねられる方が多いように感じました。
確かに、どのくらいお金と時間をかけたら想像している結果が得られるか=どのくらい演奏できるようになるのか、つまり費用対効果って気になりますよね。
やはり人それぞれ、練習時間や練習環境によっても随分変わってくるのでなかなか返答が難しい質問ではあります。お答えとしては教材のレベルが記載してる月謝表などを見て頂きながらごく平均的な話をするのですが、平均って音大進学やプロレベルから、なかなかテキストが進まないのんびり屋さんもいるので、あるようでないような、わかりずらい話だと思います・・・
ですので今回はシリーズとして、
【前編】
①グレード取得・コンクール入賞レベル~音大・プロ志望未満【結構頑張っている生徒さん】
②グレード取得・発表会毎年出演【進度遅くない・ど真ん中タイプ】
【後編】
③発表会は毎年なんとか出演【日々はのんびり、年に一度の発表会だけは頑張るタイプ】
④年間行事は参加しないがピアノ(レッスン)は好き【のんびりマイペースタイプ】
に分けてモデルケースをお話したいと思います。
音大ピアノ科志望やプロ志望の方のケースは今回のお話からは割愛しますが、ざっくり説明すると、小さいころから着実に英才教育を受けてきて方や、中学1年生と遅めの年齢でピアノを習い初めて音大現役合格した天才肌、大学経由ではなく高名な指導者に直接師事してピアニストやジャズバー経営、音楽教室経営等で成功しているパターン、また独学で努力をしてYoutubeなどで人気のピアニストなどプロの世界は様々です。
どのパターンの人もピアノで人生を左右する実力を付けるために膨大な時間と努力を積み重ねてきた事は言うまでもありません。
① グレード取得・コンクール入賞レベル~音大・プロ志望未満【結構頑張っている生徒さん】
1年生から習い始めて6年生のAさん。所有楽器はアップライトピアノ。3年生の夏ごろにバイエルが終わり、ブルグミュラー・ソナチネと順調に進めてました。発表会やグレード取得など音楽経験も多く、楽器店内のコンクールの最高位は銀賞で金賞まであと少しのところですが、今年は中学受験も本格化してくるので塾の曜日も増え、練習時間の確保が難しくなる頃です。彼女の年数と進度をまとめると・・・
◆1~3年→バイエル上・下(練習時間30分~1時間/毎日)
◆3~4年ブルグミュラー前半(練習時間1時間/毎日)
◆5年ブルグミュラー後半(練習時間1時間強〜1.5時間/ほぼ毎日)
◆6年生ソナチネ前半(練習時間1~2時間/ほぼ毎日)
※ その他併用教材もあり。練習時間はヒアリングを重ねた上での概算です。
宿題の量は3〜4曲、発表会やコンクールなど時期によっては5.6曲出しましたが、集中力があり本人のモチベーションが年間通して平均的に高く、ご両親も一緒になってコンクールで入賞する事が毎年の目標で、本番近くなるとレッスンの時間も特別に延長(別途追加料金あり)するなど、とても熱心な生徒さんでした。これから音高や音大を目指したいと言われたら、努力次第・志望校次第ではまだ間に合うと思うので、音大受験に必要な準備(練習量、レッスン計画、費用面など)をお話し、希望に変わりがなければ音大対策レッスンをしていらっしゃる先生をご紹介します。
②グレード取得・発表会は毎年出演【進度遅くない・ど真ん中タイプ】
こちらは年長さん(5歳)から習っているBさんで今5年生です。グレードは一度受験し合格してますが、発表会とクリスマス会で演奏する事を優先にしたいと二度目のグレード受験はまだ挑戦してません。もっと高みを目指していけますが、お母様も「本人の希望に合わせる」スタンスなので今のところはこのペースで問題ないようです。 ご自宅がマンションのため電子ピアノで頑張っています。
◆年長さん~3年→ぴあのどりーむ1.2.3巻(練習時間20分〜30分/ほぼ毎日)
◆4.5年ぴあのどりーむ4.5巻(練習時間30分~40分/週に4〜5日)
※他併用教材あり。練習時間はヒアリングを重ねた上での概算です。
ぴあのどりーむ以外にも適宜テキストや本人の希望曲を導入して、宿題はだいたい週に2〜3曲。ピアノ学習者として着実にステップアップもして、ピアノ演奏を楽しいと感じ、また途中から他に複数の習い事も両立されていらっしゃいましたが、バランスの取り方としてとても良いケースだと思います。
その後の進度としては、6年生でぴあのどりーむ6巻を終わらせて、中学生のうちにブルグミュラー終了(中3は受験優先なので出来れば2年生のうちにほぼ終了)→高校でソナチネと進められれば御の字かな?うまくいけばソナタまで食い込めるかな?というところです。もしも仮に将来の進路として保育園・幼稚園の先生を目指したい場合は、全く問題ないですが、小・中学、高校の音楽の専科を目指したいとなると、音大出身の教職員志望者と狭き門を争うことになるのでなかなか険しい道となると思います。
また、ソナチネくらいまで継続できると、将来大人になって久しぶりに「何か弾いてみようかな」と楽譜を手にとっても自力である程度は演奏できるはずです。
前編のまとめ
生徒さんの頑張りや家族のサポートが大きく関わる進度ですが、当然講師の指導力もあります。
もちろん、皆さん同じように入会前のご相談でお話しする内容は変わらないですし、入会後のレッスン展開の仕方もそう個人差はありません。どの子に特別に熱が入るという事もないです。
ただ、ご家族やご本人がピアノレッスンに何を求めているかはそれぞれ違いますし、習っていくうちに進度や本人の取り組み方など状況次第で変わってくるものなので、ミスリードのないようにコミュニケーションは大切にしています。また生徒さん側にもいつでも希望を言って頂けるように日ごろから間口は大きく開けてあるつもりで接していました。
今回ご紹介した【前編】内容と、次回ご紹介する【後編】の生徒さんの事は、一般的なピアノ学習者のモデルケースというよりは、私の担当した生徒さんの一例と捉えて頂いてお役立て下さったらいいなと思います。
それでは、次回はピアノ歴(年数)に対する進度の平均とは?【後編】と、費用対効果と言ったからには、、その費用の概算を実際に算出してみたいと思います。
後編はコチラ
また、大人の初心者の方は子供さんのピアノ歴(年数)に対する進度の平均とは変わってきますので、また別の記事でお話ししたいと思います。