お子様のピアノ

子供がピアノを習う事で期待できる10のメリット

こんにちは!ピアノ講師の歩です。

今日はピアノを習うと得られるメリットや、どんなふうにお子様の成長に繋がるか、なんとなくご存知の方も多いと思いますが、実際に私がレッスンしていて感じることをまとめました。

脳科学で有名な澤口先生の過去のテレビ番組での興味深いコメントも交えて紹介していきたいと思います!

これからピアノをお子様に習わせようかと思っていらっしゃるパパママ、ぜひ読んでみてくださいね。

表現力

音符を読み、伝えた指先が音を奏でる。実はこれはだれにでもできる事です。少し練習したりコツをつかめばピアノを習っていない人でも可能なことです。楽譜通りに弾くだけではない、あなたにしかできない表現をする事が音楽であり、表現力を身につけるという事になるんですね。

いやいや、そんなプロレベルのテクニックは求めてない!という声が聞こえてきそうですね。

そうではないんです。

お子さんの頑張って描いた絵のプレゼントがとても嬉しかった事はありませんか?初めて身振り手振りをつけて歌を歌ってる姿はステキじゃなかったですか?これはプロ並みの技術でなくても、「パパママに伝えたい、喜んでもらいたい」「出来ることを見せたい」と頭に思い描いた事を表に出したいという一生懸命な気持ちが伝わるので、受け取る方は感動があるのです。

こちらは「この曲は夏のお祭りが楽しい曲だよ」「こなゆきが降る景色の曲だよ」「夕方になり家に帰るのが少し悲しい気持ちの曲だよ」と伝え、「どんな気持ち」をピアノで伝える方法を教えるのがピアノの先生の役割です。

なので、「強弱をつけましょう、テンポにきをつけましょう、滑らかに弾きましょう」という楽譜の指示や先生のアドバイスを守っていると自然に表現力が磨かれ、ひとつひとつの表現が折り重なってまた重なって集合してひとつの曲となります。

演奏が他人と全く同じ演奏になる事がないのも表現力が人それぞれ違うためです。

記憶力

「暗譜」って聞いたことありますか?漢字の通り楽譜を覚えて演奏する事です。発表会などでは「暗譜で弾きましょうね」とどうしても覚えられない時以外は基本的に暗譜を勧める先生が多いと思うのですが、これにはきちんとした理由があります。

楽譜を覚えずに音符を読みながら弾いてると、脳の働きが次々出てくる音譜を理解して指を動かす事でいっぱいいっぱいになり、大切な「聞く」という働きがおろそかになってしまうんですね。

「聞く」余裕がないと、強弱をつける、曲の雰囲気をイメージして演奏をする、などといった自分の演奏をコントロールする処理が追いつかないのです。

なので、発表会のような緊張する場面は私は必ず暗譜で演奏するようにレッスンをしていますし、普段のレッスンの中でも数曲に一度は「暗譜したら合格」するようにしています。

そうしてレッスンの中で繰り返し暗譜を重ねていく事で脳の記憶力が飛躍的に発達するのです。

暗譜という視点以外にも楽譜を読み演奏するという事自体が、音符を覚え、リズムを覚え、指番号を覚え、強弱などの指示を覚え、「覚えて、読む」、「読んで、指に伝える」という刺激を受け続けるため、より記憶力が高まると言われています。

思考力

「思考」とは文字通り考えたり思う事ですよね。これって、その人に探究心や向上心があるからこそ導かれる脳の働きだと思いませんか?当たり前ですが、もしも「このままでいいか」とか「なんとも思わない」と思っていたら頭は働いてくれないんです。

ピアノのレッスンでひとつの曲を完成させるという事は、ここはどうしたら良いだろう?じゃあここは?最後はどんな弾き方で終わろう?などとひとつひとつ思考して積み上げたものの集合体です。

思考に関係する小脳や、記憶に関係する海馬も、ピアノ練習時間の総量を増やせば増やすほど機能的に良くなるというデータがあります。

忍耐力

ピアノの演奏はまわりの家族や弾いてる本人が想像しているよりも「思ったより上手くいかない」ことの連続です。

楽譜が上手く読めない、音符が覚えられない、指がまわらない、間違える、スラスラ弾けない、練習したくない、時にはつまらない曲だ!と思う事もあるかもしれません。

でも弾きたい曲のために、未来の自分のために、頑張って努力を続けているんです。

小さいうちから成功体験を積み重ね、そのために必要な我慢や辛抱といった感覚が自然と身についていきます。

判断力

記憶力の部分でもお伝えしたように、ピアノ演奏は「読んで、指に伝える」ことを繰り返し、そして指を動かしながら「先を読む」これら全ては瞬時の判断の繰り返しでもあります。

演奏中ミスをしてしまった時にとっさにミスをカバーする判断力もとても大切で、この力がないと発表会などで間違えるたびに弾き直す事になり、多少のミスはあれど一度も止まらずに弾き切った演奏と比較すると完成度が下がり、聞いてる側の印象がだいぶ変わります。

実際にレッスン中、弾けない箇所を繰り返し弾き直して正しい弾き方を覚えるという練習もしますが、「間違えても止まらず弾き通す」練習も同じくらい大切にしています。

またピアノは持ち運べる楽器と違って、「自分のピアノ」でいつもと同じ演奏ができないんですね。どのピアノでも普段通りの演奏に近づけるためには、ピアノによって自分の弾き方を弾きながら聴き、微妙な力加減で演奏を調節しなければいけないので、これもまたレベルの高い演奏には欠かせない判断力となります。

精神力

以前、子どもさんにはどんな子に育ってほしいかという雑誌のアンケートを見た事があるのですが、「優し子」「思いやりのある子」に育ってほしいが回答の大部分を占めていました。

私自身も娘にたいして同じように思う所があり、威圧的に怒らない、他人との比較をしない、など、どうしたら思いやりのある子に育つのかなーと考えつつ気を付けてはいるのですが、一方で、一事が万事すべてが優しずぎる世界ではなかなか強い心を育てにくくもあるのかな?と思ったりもします。

ピアノを習っていると、発表会だったり演奏グレード、コンクールなど、定期的に「自分の力を発表するタイミング」がやってきます。仕事をしてる大人で言うと「納期」ですね。ここに照準を合わせて努力を重ねて、たくさんの人の前に立ち、緊張してしまったり気弱になってしまう自分と向き合い、持てる力を出しっ切って演奏し大きな山場を乗り越える。

これってかなり精神力がいる事です。

人は何もなければ努力もしないし、基本的に面倒は避けたい生き物なんですよ。でもこのような事を敢えて行うことでだんだんと強い心をはぐくむことができます。これは一年に取り組む回数が多ければ多いほど精神力が強くなりますし、達成する事で本人の自信にもつながります。

なかなか普段の生活の中だけでは育てにくい精神力もピアノを習う事で身についていくはずです。

注意力

何度も言うようでしつこいですが(笑)演奏は楽譜から様々な情報を目で読み取って脳に伝え、脳が体を動かし演奏します。足でペダルを踏む事もありますし、弾いてる途中で「もっと丁寧に!乱暴にならないように!」「指、しっかり~」など先生の言葉も聞かなければいけません。それらすべてにアンテナを張りながら同時に、弾いてる箇所より次の小節を目で追う、という事を絶えず続けています。

車の運転も視界に入りこむ様々な情報をキャッチして危険を回避しますが、それに似てるかもしれません。

車は大人になり、経験上いろんな危険に対して予見する力がついてから勉強し身に付く技術ですが、ピアノはそれを小さい子供のころから鍛える事になるので、より周囲に対してアンテナの高い子どもさんになるはずです。

注意力が高い事は、身の回りの様々な事に関心や興味をもつキッカケにもなりますので、低いより高い方が人生を豊かにする事ができます。「ボーっと生きてんじゃねーよ」ってうやつですね。

理解力

「分かった」と「その通りにできるか」って違うな~って大人でも思いませんか?

理解する事と行動が伴うかは別々の事で、演奏が行動として表現されるためにはまず理解という土台が必要になります。でも面白いなと思うのが、まず先に完璧に理解が出来ていなくたとしても行動しているうちに理解できる事もあるという点です。

ちょっと意味わからないけどやってみたら「こーゆう事だったのね~」と後からわかる事ってありますよね。

曲の成り立ちを理解する、楽譜を読み取り理解する、失敗の原因を考え理解する、そして行動する、更に理解が深まる、ダメなら初めの理解のプロセスに戻る。

そうして「出来た」ことで理解力が身に付き、論理的に考える力が鍛えられます。

体力

私の尊敬するピアノの先生に、精度の高い体組成計で体を測定したところ「アスリート」と判定された人がいます。お恥ずかしいですが、私も特に前腕はマッチョで(笑)、親指と人差し指の間の筋肉が「おれと一緒」と言ってきたのが瓦の職人さんでした・・・

小学生くらいの子どもさんでも、コンクールに出てくる生徒さんなんかは歩く姿や演奏する腕を見て、「そこそこの長時間練習が日々出来ていないと付かない筋肉だな」と思わせる佇まいの生徒さんもいるものです。

話が筋力に偏りましたが、良い演奏をするために両足でしっかり地に足を付き、背筋はすっと伸びた状態で、両腕を動かすという一連の動作が土台となります。全身の筋肉を絶え間なく使い続けるので、ピアノって「文科系」と言われますが、意外と体力が要るんですね。

想像力

ピアノの演奏力を高めるためには技術的な事が大切ですが、想像する事も同じくらい大切です。

有名な曲で考えると分かりやすいです。

例えば「別れの曲」と聞いて「さぁ、元気に弾こう」と思う人はいないですし、「トルコ行進曲」をレッスンしましょうといわれて「しんみり弾いてみよう」とは思いませんよね。

この曲は、このフレーズは、どんな気持ちで作られたのだろうと想像力を膨らませるために、ピアノの先生はたくさんお話もしてくれてると思います。

ピアノをならっていれば、「どうして?」とイメージを膨らませる癖が身に付きます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

脳科学者としてテレビでもおなじみの澤口俊之先生は「ピアノを習うと脳のワーキングメモリがぐんと伸び、問題解決能力、社会性、創造性など人生の成功に関係する全ての基礎がピアノで高められる」と力説するほどピアノ学習を推奨されています。

ピアノを習いたいのに「そんなのできてどうするの」と反対意見を持つ人も多くいらっしゃると思うのですが、たとえプロ奏者や、レベルの高い演奏力を求めないとしても、人生100年時代を強く生き抜くために必要な力がピアノでつくと考えると、習って損のない習い事なんじゃないかなと思います。

ぜひぜひお近くのピアノの先生を探してみて下さいね!

それではまた。